[ 重量級 ]オリジナル魔改造カタン

戦禍のカタン

- Krieg & Allianz -

カタンとは

世界三大ボードゲームの一角を担うと言われるほどの人気と知名度を誇るボードゲーム「カタン」
未開拓の島を切り開き、資源を争奪していくボードゲームです。

ルール解説

世界で爆発的なヒットを記録したボードゲーム「カタンの開拓者たち」。スタンダード版のジーピー公式の遊び方・ルール解説10分動画です(携帯キャリーケース版も同ルール)。このゲームは今までに多くの方が解説動画を公開していますので、そちらも参考にしてください。

カタン最強の戦い方を解説してみます

初期配置についても詳しく解説しています。

カタンて面白いですよね~
でもでも、何かちょと物足りなくないですか?
実際の世界の資源争奪戦ってこんなクリーンに行われていないですよね?
欲しい資源があれば脅し、騙し、武力をちらつかせた外交を展開する。それが現実

そんな現実志向の方のために中量級と言われるカタンを重量級に魔改造したのが[ 戦禍のカタン - Krieg & Allianz -]
使用するのは、できれば5人以上でスタンダードの拡張版を。4人の場合はスタンダード版で。
以下では通常のカタンと違う部分だけを説明します。

まずこの[ 戦禍のカタン - Krieg & Allianz -]の前提ルールを説明します。

前提ルール

+ 港の重要性爆上げ!?

4:1交換ができません。港、重要です。

+ Bonus 2 Points

最大交易路2ポイント、最大騎士力2ポイント、ありません。何ですか?それ

+ 勝利点

勝利点が[ 10 ]のままだとちょっとアレなので、変更してお楽しみください。
おすすめは...

拡張版6人プレー[ 8 ]
拡張版5人プレー[ 9 ]
スタンダード版4人プレー[ 9 ]

+ 資源カードについて

取引時間節約のため、全プレイヤーの手持ち資源カードはフルオープン!!

+ 発展カードについて

発展カードを[ 騎士カード ]と[ 騎士以外の発展カード ]に分けて、[ 騎士カード ]は上向き、[ 騎士以外の発展カード ]は伏せて下向きに置きます。つまりどっちを引きたいかを選べるというわけです。

そして[ 騎士カード ]も[ 騎士以外の発展カード ]も、引いたらオープン状態で保有し、かつ引いたターン内にすぐに使用することができますし、ターン内に何枚でも何種類でも使用OKです。

使い終わった[ 騎士カード ]と[ 騎士以外の発展カード ]は、どちらもヤマに戻します。

ヤマへの戻し方は、[ 戻すたびにシャッフル ]と[ シャッフルせずに一番下に入れる ]どちらでもかまいませんが、そのゲームでは最初から最後までどちらかで一貫してください。

+ 街道、開拓地、都市の撤去

自陣の[ 街道 ]を[ 麦 ][ 羊 ][ 鉄 ]のどれか1枚で撤去することができます。

自陣の[ 開拓地 ]を[ 鉄 ]2枚で撤去することができます。

自陣の[ 都市 ]を[ 木 ][ 土 ][ 羊 ]各1枚ずつ合計3枚で撤去することができます。

覚え方としては、それの建設に使わない資源を1枚2枚3枚という組み合わせです。

+ 商談と外交

この魔改造カタンは取引の時間にとれる選択肢があまりにも多いため、色々と言いたくなるし、他のプレイヤーのターンの時にも口を挟みたくなるんですが、あくまでも取引の時間は商談・外交に関してのみ発言可能。
脅威論や陰謀論の流布は禁止ですし、他のプレイヤーに商談助言や外交助言をするのも禁止です。

ただし、このゲームはみんなでワイワイやるのが楽しいので、誰かの一手に対して一言リアクショントークするぐらいならOK。線引きが難しいですが、踏み込んだ内容でなければキャッキャウフフしてください。

+ 7が出たらそれはフリータイムの合図

サイコロで7が出ると盗賊の移動イベントが発生します。このときこそがこのゲームの完全フリータイム開始の合図です。
最大で3分間、普段禁止されている脅威論や陰謀論の流布、商談助言や外交助言を自由に繰り広げてください。

7の目を出したプレイヤーが盗賊を移動させると、3分を待たずしてフリータイム終了です。

+ ターン内に終わる口約束は絶対、将来の口約束は... ん~どうだろね

「これしてあげるからこれ頂戴」などの口約束が1人のターン内に履行できるものに関してのみ、口約束であっても破ってはいけないということをゲームルールとして保護します。
アッシェンテ

続いてこの[ 戦禍のカタン - Krieg & Allianz -]の特殊ルールとして追加される現実世界に即した3つのエレメントを説明します。

Element 1 戦争

このカタンでは既に他プレイヤーが敷設した街道を奪い、自陣街道に敷設し直すことができます。
他プレイヤーの街道を奪うコストは0、[ 木 ][ 土 ]1枚ずつで街道の自陣塗り替えができます。
奪った街道は元のプレイヤーのストックに返却します。

そうして他プレイヤーの開拓地や都市に自陣の街道が接すると[ 騎士カード1枚 ]を消費して宣戦布告が行えます。

宣戦布告可能状態 青の街道が赤の開拓地に接続しているので、赤の開拓地に対して宣戦布告が行える状態になっています。

戦争を仕掛けられたプレイヤーも[ 騎士カード1枚 ]で応戦することができ、宣戦布告した側もさらなる追加戦力投入として[ 騎士カード1枚 ]を消費。さらに[ 騎士カード1枚 ]で応戦...

というように、消費したカードが同じ枚数なら開拓地や都市は取られませんが、宣戦布告した側が1枚でも多く[ 騎士カード ]を消費した場合は、開拓地や都市は乗っ取られ、宣戦布告した側の開拓地や都市に置き換わります(建設コスト0)
奪った開拓地や都市は元のプレイヤーのストックに返却します。

ただし、開拓地に対する宣戦布告はこの通りですが、都市に対する宣戦布告は[ 騎士カード2枚 ]が必要です。
※都市攻防戦争の場合でも応戦や追加戦力投入は[ 騎士カード1枚 ]のまま

ちなみにラスト1スポットになったプレイヤーに宣戦布告はできません(そうじゃないとゲームから脱落になっちゃいますからね笑)

Element 2 同盟

このカタンでは街道で接する両国の話し合いでいつでも同盟関係を結ぶことができ、どちらか一方の好きなタイミングでいつでも破棄できます。

同盟を締結することの絶対的効力としては
同盟国同士は戦争ができない + 同盟相手の街道を奪えない
という条件です。

ただしこの同盟にはさらなるオプションがあり、これらは「やってもいいしやらなくてもいい」ということになりますが、それは同盟国の街道を利用して飛び地や飛び街道を建設したり、戦争協力(騎士カード派兵)もできたりします(飛び宣戦布告はできません)

飛び街道建設 青と赤が同盟を結び、青が赤の開拓地先に飛び青街道を建設した状態です。飛び街道ぐらいなら全然OKなんですが、その先に青開拓地を建設されると赤はイラッとしますね。

飛び宣戦布告不可 青と赤が同盟関係で、お互いの街道利用ができるといっても、黄の開拓地に宣戦布告できるのは赤のみということです。「飛び宣戦布告不可」とは青が黄に宣戦布告できないということです。ちなみに赤と黄の間に青飛び街道があったとしても、同盟破棄がない限り赤は黄に宣戦布告できます。

これら同盟国間でできることの全ては同盟国同士が街道で繋がっていることが条件です。第三国に同盟国間の街道を分断されたり、同盟相手に街道撤去されて繋がりが断たれた場合は、実質同盟としての機能を失います。取り残された飛び街道を同盟破棄されるまで利用できるくらいですかね。

同盟締結では書面を作成します。
同盟締結文書には、同盟を破棄した側が支払う条件を話し合って書き残します。
例えば「麦3枚、鉄2枚もしくはそれに相応する手形の支払い」みたいな感じで(同盟破棄の条文に資源と手形以外の条件は設定できません)
両プレイヤーが合意すれば無償同盟解消も可能です。

同盟宣誓書 戦争しない!!街道奪わない!!ラヴ&ピース!!愛こそ平和!!でも飛び地作ります!!ごめんね!!

Element 3 手形

このカタンがゲームとして劇的に、かつダイナミックに動いていくための潤滑油的存在、それがこの手形取引です。
手元に資源がなくても、「将来支払いますよ」って意味の手形を発行して取引などに使います。利息の無い資源債というか、まぁ...借金みたいなものですね。

手形を発行するプレイヤーは、小さめのカードに[ 木 ][ 土 ][ 麦 ][ 羊 ][ 鉄 ]のどれかを書き、その下に自分の名前を書いて債権者に渡す。これだけ。

手形の債務期限は、債権者がサイコロでピンゾロ(2)を出した瞬間(確率は1/36)です。

手形の不渡りが出た場合、債権者は発行者から[ 開拓地1つ ]or[ 街道1つ ]or[ 手持ち資源カードの全て ]のいずれかを奪い、開拓地もしくは街道を奪った場合は自陣の好きな場所に建設し、手形を発行者に返却します(スペースがない、あるいは建設ストックがないことにより、開拓地を奪っても自陣に建設できない場合もあります。その場合は奪うだけになります)
※都市は奪えません

複数のプレイヤーの手形を数枚持っている状態でピンゾロを出すと、もぅ脳汁ドバドバ。一気に場が動きます(手形3枚保持でのピンゾロは開拓地3つ奪えるってこと)

手形の発行者は手形に書かれた資源カード1枚を債権者に支払うことでいつでも手形を回収することができ、債権者は発行者の手形回収を拒否することはできません。
手形は無限に発行することができます(バーストにはカウントされません)

手形取引 手形の不渡りなんて1/36の確率なんで、すぐに確保できる資源の手形ほど恐れずにじゃんじゃん発行して取引に使いましょう!ゲーム序盤ほど手形の価値は高く、ゲーム終盤ほど手形の価値は低くなる(ごく僅かですけど)という面白い性質があります。

説明は以上となります。

どういうプレーや戦術が使われるか

説明は以上となりましたが、とはいえ実際どんなゲームになるのか?
もしかしたらルールを理解しただけではゲームの内容まで予想できないかもしれませんので、以下ではゲームで予想される展開や、なぜそうなるのか?を解説していきます。

+ 同盟を単なるお仲間と考えるあなたの頭はお花畑

基本的に同盟は拮抗する資源力と[ 騎士カード ]の保有枚数が似たような相手と結ぶんじゃないか...と、そう予想しているなら、あなたの頭の中は綺麗なお花畑で占有されています。
もちろんそんな状況もありますが、圧倒的軍事力国家(騎士カード大量保持プレイヤー)の隣国が過度の圧迫感を受けて同盟を結ばされる、あるいは同盟を結ぶ対価として大量の資源を要求されるケースがあります。

まず前者ですが、圧倒的軍事力国家が隣国を挟んで獲得したい資源地や港がある場合、そこまで街道を敷設せずとも隣国と同盟関係になって、欲しい資源地や港に飛び地を建設するというのが、大国としての王道プレーではないでしょうか。現実世界でもどっかの国が今やってることですしね。

後者は単に武力をちらつかせてカツアゲをするという分かりやすい構図。

どちらも大国からすると潰す価値すらない相手に対してとりやすい行為です。

「潰す価値すらない」んならそんな同盟結ばなきゃよくね?って態度で交渉すると...

+ 合従軍編成!?

あまりにもダントツトップを独走すると、他の5国に合従軍を編成される恐れがあります。
春秋戦国かよって話ですが、通常のカタンよりも「特定のプレイヤーを堕とす」ゲーム性が濃く出ます。

それを阻止する術としては、そうなる前に同盟を結んでおくことに尽きます。

+ 3国同盟は可能

ゲームの性質上、同盟とは2国間でしか締結できませんが、AB同盟、BC同盟、CA同盟と、3枚の同盟締結文書を作成することで3国同盟は可能です。
ただ、だから何だよ?って話ですね。

3国同盟そのものよりも、それを締結した効果を考えなければいけません。
というのも、ゲームに勝つためには同盟の中から単独で優位に立つ必要があるからです。その術がないのなら、いずれは同盟解消しなければいけませんし、対等な同盟であったとしても、それなりのリスク行為ということです。

+ 戦争の泥沼化は稀?

この世界の戦争は[ 騎士カード ]で行われるんですが、ルールを思い出してください。[ 騎士カード ]は

オープン状態での保有がマスト

つまり戦争する前からどっちが勝つかというのは分かりきったことなんです(同盟国が戦争協力してくれれば話は別)
負ける側は、開拓地が取られると分かりきった戦争に手持ち[ 騎士カード ]を全消費するか、宣戦布告した国の[ 騎士カード ]1枚消費で開拓地を差し上げて、こちらの[ 騎士カード ]を温存しておくかの実質2択を選ぶということになります。

誰とでもできるゲームではない

カタンというゲーム自体が基本コンセプトとして、他人の単独首位を阻止するという性質なうえ、この魔改造カタンはさらにその色を極限まで濃くしています。
人狼ゲーマーは普段からゲームを通して誰かを疑ったり騙したりしていますので、他人を蹴落としてほくそ笑むことに快楽を覚えますし、自分が疑われること、自分の邪魔をされることに慣れていて、それも含めて楽しいと思える心の余裕を持っている人が多いので成立しますが、こういうことに慣れていない人や、ゲームをゲームとして楽しめない人とするゲームでは決してありません。
ということをお断りしておきます。

あと、これ何時間かかるか分からない重量級ボードゲームですので、制限時間を設けて1時間経過ごとに勝利点を 8 → 7 と落としていったり、〇時間で設定して過ぎた時点の最高得点者の次点を勝利点とするのもアリです。

マキャヴェッリ先生はこう宣った

それでは最後に中世イタリアの外交官で君主論の著者でもあるマキャベリ先生の名言をお送りしてお別れです。

戦いを避けるために譲歩しても、結局は戦いを避けることは出来ない。
なぜなら譲歩しても相手は満足せず、譲歩するあなたに敬意を感じなくなり、より多くを奪おうと考えるからである。

--Niccolò Machiavelli